火薬類取締法省令改正後10年間の安全に対する姿勢と取り組み

平成18年5月23日
会長 山田 誠

 1957年、人類初の人工衛星が宇宙を飛ぶ姿を見たアメリカの青少年の間に手作りロケットブームが起こり、鉄パイプに手製黒色火薬を詰め、導火線で点火した結果、全米各地で事故が続きました。そこで、より安全な手作りロケットを青少年に与えて、安全で正しい理論による教育としてのロケット打ち上げを行おうというロケット専門家が参加し、NAR米国ロケット協会が誕生し、初代会長にモデルロケットの安全規則を立案したG.Harry.Stineが就任しました。その安全規則には、ロケットは金属を使わずに紙と木とプラスチックで作り、エンジンは工場で生産された物を使用し、個人が作ってはいけない、発射は電気で点火させる、発射台と点火装置は5m離れるなど、が記載され、学校教育の教材として小学校4年生以上の教育に使用され、現在までに37年間、3億5千万回無事故記録を更新し、世界各国の教材として現在まで発展し続けています。

 日本でも昭和30年代、多くの学生がアメリカと同様に鉄パイプに手作り黒色火薬と導火線による打ち上げを行い爆発事故が多発し、その結果、教育委員会やPTAが禁止活動を行い、事実上手作りロケットは学校教育現場では禁止となりました。
 1990年、日本の青少年の理科離れを防止し、技術立国とするためには、世界的規模で青少年教育に活用されている手作りロケットを、日本の青少年にも使用させたいという関係者の思いにより日本モデルロケット協会が設立され、宇宙開発事業団理事長(当時)や文部省宇宙科学研究所長(当時)などの専門家が役員となりました。
 その後の日本モデルロケット協会の青少年教育活動が認められ、平成7年10月関係省庁のご理解により通商産業省(当時)より火薬類取締法の省令一部改正が行わ、18才以下の青少年が大型モデルロケットを取り扱うことができるようになりました。同時に施行規則第56条の3の2により、「火薬類の消費の技術上の基準」が示され、風速8m以下で打ち上げる、不点火は30秒待つ、など27項目が示されました。

 さらに平成7年11月、日本モデルロケット協会会長及び火薬関係4団体会長に対し、通達第499号が通商産業省より出され、火薬量20g以下のがん具煙火の消費についても、模型ロケットに用いられる「火薬類の消費の技術上の基準」に準拠して行われることが、火薬類による災害の防止上望ましいことから、この基準に準拠するよう貴団体関係、取り扱い従事者に指導してください。との通達の趣旨に従い、日本モデルロケット協会では、昭和30年代に戻してはならない、世界共通の教材を日本の青少年が安全に取り扱うための教育をすることが重要であるとの考えから、理論と法令・製作打ち上げ実習を含めたロケット教育を自主的に実施し、受講した証明として従事者ライセンスを発行し、設立以来15年間で30万回無事故打ち上げを続行しています。
 このように、モデルロケット教育は安全に取り扱うための保安教育と、ロケット教材そのものが安全確保されなければならないため、日本モデルロケット協会では、使用する教材に自主法令基準適合検査を実施し、合格品には協会認証シールを貼付して、一層の保安確保を実施しています。

 モデルロケットは、その取り扱いを誤ると青少年が被害者となることから、その影響は図り知れない物があり、昭和30年代に逆戻りすることも考えられます。
それ故に、青少年に対しての教育は重要なものであり、更に検査した製品を供給するのが協会の使命と考えております。
 日本モデルロケット協会は、そのような過去へ向かわないよう安全最優先で活動しておりますので、省令改正10年目にあたり、今後ともご理解・ご協力をお願い申し上げます。