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全国大会で失敗しないための基本知識  3/3


 

 接着力を試す実験
 ストローを使った自作ランチラグを数多く、見かけました。ほとんどのストローはポリプロピレン製です。一般に、ポリプロピレン樹脂はその分子構造から接着剤による直接接着が困難な材料だと言われています。ランチラグが外れる原因として接着不良が考えられます。
そこで、前記の計算例で使ったサイズのラグパイロンをバルサ材(t3o)で作り、ストロー(φ4o)を接着したテストピースを試作して評価実験をしてみました。荷重は前記の計算例と同様、AA8−3エンジンンの最大推力が接着部から25o離れた位置に掛かったとした場合の曲げモーメントを模擬しました。試験パラメータは接着剤と接着面を変えて5ケースとし、耐久性を評価しました。
    
テストピース



 接着部から25o離れた位置に砂袋を吊るして
10.7Nの荷重を、負荷しました。
  

  ・テストピースと結果
テストピース
No.
接着剤
接着面の状態

備考
#1
スチレンブタジエンゴム系
(GPクリヤー)
ストロー地のまま
×
耐久性無し
#2
酢酸ビニル樹脂系
(木工用ボンド)
ストロー地のまま
×
耐久性無し
#3
シアノアクリレート系
(瞬間接着剤EXTRA速効多用途)
ストロー地のまま
少し耐久性有り
#4
エポキシ系
(ボンドクイック5)
ストロー地のまま
×
耐久性無し
#5
酢酸ビニル樹脂系
(木工用ボンド)
ストローに紙粘着
テープ巻き付け
耐久性有り

 結 論
 ランチラグを接着する場合は接着面積を大きく取ることが困難です。従って、高強度の接着が必要となって来ます。ポリプロピレン製のストローを流用してランチラグを作製した場合には本質的に高強度で接着することが出来ないことが分かりました。ポリプロピレンを接着出来ると謳っている接着剤でも、粘着性で接着するタイプなので接着剤自体の強さが得られず0.5MPaを越えるような高強度接着には不向きでした。従って、ポリプロピレン製のストローを使ってランチラグを作る場合の解決策は外側に薄い紙粘着テープ(マスキングテープなど)を巻いてから木工用接着剤で付けることを推奨します。米国ESTES社製のランチラグをよく見ると内側はプラスチック製(ポリプロピレン?)チューブで外側には何か薄い紙のようなものが巻き付けられています。これには何か意味があるはずです。おそらく接着性を向上させる為にESTES社が開発した技術であると推測します。いずれにしてもESTESのランチラグは木工用接着剤でよく付きます。

 まとめ
 ランチロッドに引っ掛かったり、ランチラグが外れてしまったりする失敗をしない為には、以下を試してみて下さい。
 1. ランチラグを太くし過ぎないこと。
 2. ランチラグを出来るだけ機軸に近付けて取り付けること。
 3. ランチラグを出来るだけ機軸と平行に取り付けること。
 4. ランチラグとランチロッドの滑りを良くする工夫をすること。
 5. ポリプロピレン製ストローのランチラグを取り付ける際は紙粘着テープ(マスキングテープなど)を巻いて接着すること。

 この講座は主に指導講師以上を対象としました。指導講師の方は内容を良く理解していただき指導に活かしていただければ幸いです。

 以上、まとめてみましたが、ひょっとして間違ったことを言っているかも知れませんので、違うと思う方は自分で研究したり、調べたりしてみて下さい。そうすれば、モデルロケットは、もっと面白くなるはずです。
                                   (J00005/GT0075)濱田

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